衝動は、止められなかった──発達グレーの娘が防犯カメラに映った日

シンママのリアル

前回の記事では、娘がお金を衝動的に使いこんで、最終的には家の1万円まで持ち出した話を書いた。

今回は「自転車のマスコットをむしりとった事件」の話。

正直に言うと、これを書くのがいちばんしんどい。

突然、仲間外れになった

長子には、仲のいいグループがあった。3人で同じキャラクターを推していて、放課後もよく一緒にいた。

ある日から、突然そのグループに入れてもらえなくなった。

理由はわからない。本人に聞いても「知らん、突然や」と言うだけ。

当時のコゼニーの受け止め方は、こうやった。

「……まあ、長子がなんかやらかしたんやろうな」

それだけ。

当時のコゼニーにとって、長子は「問題を起こす子」やった。理由がわからないトラブルが多くて、説明がつかないことだらけで、「また何かやったんやろう」が、いつのまにかデフォルトになってたんよな。

本人は「別にいい、他にも友達おるし」と言ってたし、学校にもちゃんと行ってた。困ってないというから、様子見にしてた。

お揃いのマスコットを見た、その瞬間

しばらく経ったある日。

マンションの駐輪場で、かつての友達2人が並んで自転車を止めているのを、長子が目にした。

2台の自転車に、お揃いのマスコットがついていた。3人で一緒に推していた、あのキャラクターのやつ。

次の瞬間、長子は手を伸ばして、片方のマスコットをむしりとった。

その一部始終が、マンションの防犯カメラに映っていた。

コゼニ先生
コゼニ先生
発達グレーの衝動性は「考えてからやる」が極端に苦手。怒り・悲しみ・嫉妬の感情が一瞬でフルスロットルになって、止める間がない。「なぜやったの」と聞いても本人も答えられないことが多い。

管理人→先生→謝罪の場

管理人室に呼ばれて、防犯カメラの映像を見せられた。

長子に伝えたとき、顔から血の気が引いた。唇が真っ白になって、倒れるんじゃないかと思うくらい固まってた。

管理人さんから「あとはかたつけてください」と言われ、コゼニーは担任の先生に相談した。仲間外れのことはすでに報告してたから、先生もある程度の経緯は知っていた。

学校で、先生が立ち会う形で謝罪の場が設けられた。コゼニーは保護者への謝罪はしたけど、子ども同士の謝罪の場には立ち会わなかった。

「加害者になってしもたら、もう詰みやん」

これ、あんまり言えることじゃないかもしれんけど、正直に書く。

仲間外れにされてる間は、長子は被害者やった。

つらそうやな、かわいそうやな、でも本人は「別にいい」って言ってるしな——くらいの距離感で見てた。少なくとも、「長子が悪い」とは言えない状況やった。

でも、マスコットをむしりとった瞬間に、加害者になった。

そのとき思ったんよな。

「被害者でいれたのに。加害者になったら、もう何もできひんやん。不利になることばっかりやん」

子どものことを心配してたんじゃなくて、状況が不利になることへの焦りやった。

当時のコゼニーは、そういう余裕しかなかった。

「性格の悪い子」として生きてた、あの頃

今になって思う。長子は当時、「性格の悪い子」として周囲に見られてたんやと思う。

親のコゼニーですら、そう認識してた。

発達グレーって、そういうことなんよ。

1歳・3歳の健診で引っかかるわけでもない。明らかな多動でもない。女の子はなおさら、外から気づかれにくい。

「お金を盗んだ」「妹への当たりがきつい」「気に食わなかったら友達のものをもぎとる」——これが積み重なっても、「発達特性がある」とはなかなかならない。

問題児ではある。でも「障害」や「特性」とは結びつかない。

で、問題を起こすたびに叱られて、否定されて、自己肯定感が削られていく。特性っ子がそうやって自信をなくしていく仕組みって、こういうことなんやなと、今になったらわかる。

長子、あのころのこと、ごめんな。

じわじわと、つながっていく

「発達特性に気づいた瞬間」みたいなドラマチックな場面は、コゼニーにはなかった。

じわじわ、じわじわ。点と点がつながっていくような感覚。

そしてこの頃、コゼニーはもうひとつの「おかしいな」に気づきはじめていた。

字が、書けない。

本は読む。内容もちゃんと理解してる。なのに、漢字の宿題を見たら——なんていうんやろ、「漢字を初めて見た外国の人が書いたような、おぼつかなさ」なんよ。

この話は、次の記事で書く。

このシリーズの記事一覧

Episode 1:娘がお金を盗んだ──発達グレーの衝動性と、怒鳴り続けた母の話
▶ Episode 2:この記事
▶ Episode 3:字が書けない──LDに気づくまでの道のり(近日公開)

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※この記事は、コゼニーの実体験をもとにしています。診断・医療に関する判断は必ず専門家にご相談ください。

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